この記事でわかること
- 機械設計技術者試験3級(令和2年度)の材料力学の解説
この記事では、機械設計技術者試験3級(令和2年度)の材料力学(問題はコチラ)を解説しています。
機械設計技術者試験3級の全般的な勉強方法は以下の記事をご覧ください。
自己紹介

- 機械設計技術者試験3級の合格者
- 元・上場メーカーの開発職
- 機械系の大学院卒
*本解説は個人で作成したものです。より信頼性の高い解説は日本設計工業会の公式過去問題集をご覧ください。
大問1|応力とひずみ、棒の伸び
問1の難易度:★★☆☆☆
→ 中学レベルの数学の問題
問2の難易度:★☆☆☆☆
→ 応力を求める基礎的な問題
問3の難易度:★★★☆☆
→ フックの法則から棒の伸びを計算
問4の難易度:★☆☆☆☆
→ 問3の解答に数値を代入
*難易度は私の感覚です。
問1|変断面円柱の横断面積
直径 \(d\) の円柱の横断面積 \(A\) は \[A = \frac{\pi d^{2}}{4} \] なので、位置Xの円柱の直径 \(d_x\) がわかれば解けます。位置Xの円柱の直径の求め方
変断面円柱の直径は一次関数的に変化しているので、AB間の直径 \(d_x\) を一次関数として考えます。 \[d_x = \frac{d_2 – d_1}{l} x + d_1 \] 傾きが \(\frac{d_2 – d_1}{l}\) 、切片が \(d_1\) の一次関数ですね。以上より、正解は⑥です。
問2|応力の定義
応力は部材内に働く単位面積あたりの力です。
応力の定義
部材に作用する力(任意断面の内力)を \(P\) 、作用面の断面積を \(A\) とすると応力 \(\sigma\) は次式で与えられます。\[\sigma = \frac{P}{A}\]応力には力の作用面に垂直な方向に生じる垂直応力と、力の作用面に沿って生じるせん断応力があります。
細かく言うと、本問で求めるのは垂直応力です。
以上より、正解は⑤です。
問3|フックの法則から伸びを求める
フックの法則
フックの法則より応力 \(\sigma\) 、ヤング率 \(E\) 、ひずみ \(\varepsilon\) には次の関係が成り立ちます。 \begin{align} \sigma &= E \varepsilon \\[3pt] \Leftrightarrow \varepsilon &= \frac{\sigma}{E} \tag{1} \end{align}ひずみの定義
伸びを \(\lambda\) 、部材の長さを \(l\) とするとひずみ \(\varepsilon\) は次式で与えられます。 \[ \varepsilon = \frac{伸び}{部材の長さ} = \frac{\lambda}{l} \tag{2} \]フックの法則と伸びの関係
式(1)と式(2)を整理すると \(\lambda\) は次式で与えられます。 \begin{align} \frac{\sigma}{E} &= \frac{\lambda}{l} \\[3pt] \Leftrightarrow \lambda &= \frac{\sigma}{E} l \tag{3} \end{align}式(3)はよく使うので暗記しておいてもいいと思います。

積分計算が気になる人は下の「補足」をタップ!
以上より、正解は②です。
問4|数値を代入
問3の答えに数値を代入するだけです。
答えは「単位:mm」で要求されているので単位変換の必要はありません。 \begin{align} \lambda &= \frac{4 P l}{\pi E d_1 d_2} \\[10pt] &= \frac{4 \times 26 \times 1850}{\pi \times 206 \times 20 \times 40} \\[10pt] &= 0.371… \\[10pt] &\approx 0.37 \end{align}
単位変換が気になる人は下の「補足」をタップ!
以上より、正解は③です。
大問2|はりの曲げ
問1の難易度:★★☆☆☆
→ 釣合いから支点反力を算出
問2の難易度:★★★☆☆
→ 任意断面の曲げモーメントを算出
問3の難易度:★★★★☆
→ SFDとBMD
問4の難易度:★☆☆☆☆
→ 実質、二次関数の最大値を求める問題
問5の難易度:★★★☆☆
→ 断面二次モーメントと曲げ応力
*難易度は私の感覚です。
はりの曲げは頻出問題なので参考書で基礎を修得することをオススメします。
ちなみに、私が実際に活用していたのは『材料力学(JSMEテキストシリーズ)』です。
問1|はりの支点反力

以上より、正解は①です。
問2|任意断面の曲げモーメント
分布荷重は単位長さあたりの荷重なので、荷重の合計は分布荷重と分布荷重を受けている長さとの積で求まります。
計算上、分布荷重の合力の作用点は分布荷重の重心として考えます。
本文においては分布荷重の中心、すなわち \(\frac{x}{2}\) の位置になります。
以上より、正解は⑥です。
問3|SFDとBMD
荷重を受ける位置の前後で場合分けしてせん断力と曲げモーメントを求めるのは鉄板です。
問2で 0<\(x\)<\(\frac{l}{2}\) の範囲を計算したので、 \(\frac{l}{2}\)<\(x\)<\(l\) の範囲を計算すればSFDとBMDを描けます。
以上より、正解は③です。
問4|最大曲げモーメント
問3のBMDより、曲げモーメントは0<\(x\)<\(\frac{l}{2}\)に範囲で最大になるので次式を平方完成する。 \begin{align} M_\rm{X} &= -\frac{w}{2}x^2 + \frac{3l}{8}x \\[5pt] &= -\frac{w}{2} \left\{\left(x - \frac{3l}{8}\right)^2 - \frac{9l^2}{64}\right\} \end{align} よって、\(x = \frac{3l}{8}\)のときに\(M_\rm{X}\)は最大となるので、 \begin{align} M_{\rm{max}} &= \left(-\frac{w}{2}\right) \cdot \left(-\frac{9l^2}{64}\right) \\[5pt] &= \frac{9wl^2}{128} \end{align}以上より、正解は⑤です。
問 5|最大曲げ応力

長方形断面の断面二次モーメント
図より \(dA = bdy\) と表せ、中立軸は底面から \(\frac{h}{2}\)の位置なので断面二次モーメント \(I\) は次式で与えられる。 \begin{align} I &= \int_{A} y^2 dA \\[5pt] &= \int^{\frac{h}{2}}_{-\frac{h}{2}} by^2 dy \\[5pt] &= \frac{bh^3}{12} \end{align}長方形断面の断面二次モーメントはよく使うので暗記しておいてもいいですね。
以上より、正解は③です。
まとめ
この記事では、機械設計技術者試験3級(令和2年度)の材料力学を解説しました。
誤りや疑問があればコメントください。
機械設計技術者試験3級の全般的な勉強方法は別記事↓で解説しているのでどうぞ。
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