- 研究室ってどう選べばいいの?
- 研究室選びで後悔したくない
この記事でわかること
- 研究室選びで重視すべき8つの観点
- 気にしなくてもいい4つのこと
- 研究室のリアルを知る方法
工学の修士号を持つ私の体験談をもとに研究室の選び方を解説しています。
自己紹介
- 機械系の修士卒
- 研究室選びは大成功
- 元・上場メーカーの開発職
研究室選びを誤ると後悔する
研究室選びは非常に重要です。
理系の多くは大学3年あるいは4年生になると研究室に配属されますよね。
最短でも1年、博士号まで取得する人は6年以上を研究室で過ごすことになります。
研究室は良くも悪くも閉鎖的な環境です。
自分に合った研究室に入れないとストレスを抱えたまま数年間を過ごすことになります。
研究室選びを成功させるには、
の二点が重要です。
研究室選びで重視すべき観点
研究室選びで重視すべき8つの観点を重要な順に紹介します。
教授との相性
最も重要なのは教授との相性です。
研究室は教授が社長の中小企業のようなものです。
「研究室選び ≒ 教授選び」といっても過言ではありません。
- 学生に自由に研究させるタイプ
- 学生を管理するタイプ
- 結果を重視するタイプ
- 研究より教育を重視するタイプ
など、さまざまなタイプの教授がいます。
自分に合ったタイプの教授の元で研究することが理想です。
どれだけ研究テーマに関心があっても教授と相性が合わなければ台無しです。
教授との相性を見極める具体的な方法は別記事で解説しています。
研究の裁量権
裁量権が大きいほど自由に研究できます。
具体的には研究のテーマや方針をどれだけ自分で決められるかです。
すべて独断で決めるのは不可能ですが、裁量権の大きさは研究室によって異なります。
たとえば、
- テーマをゼロから自分で考え、進め方も自分で決める
- テーマは教授が提案した中から選び、進め方を自分で決める
- テーマは指定されるが、進め方は学生に任される
- テーマも進め方も教授が決める
などです。
自分に合った進め方で研究できるところを選びましょう。
判断基準のひとつとしてコアタイムの有無があります。
怠けがちな人やメリハリを重視する人にはオススメです。
逆に自分のペースで進めたい人には向かないでしょう。
研究資金と設備
研究を円滑に進めるためにはお金と設備が欠かせません。
研究力の高い大学ほど、また教授の知名度が高い研究室ほど資金は潤沢です。
他大学の研究室を目指す人は大学間の資金力の差にも注目しましょう。
同じ大学であれば研究資金の多寡は教授に依存します。
- インパクトのある研究に取り組んで国や企業から資金を獲得している教授
- 研究室とは別に会社を経営して資金を調達している教授
などさまざまです。
研究資金がいくらかなんてわからないよ
研究資金がわからないときは研究の設備に着目しましょう。
設備とは実験装置だけでなくパソコンやデスクも含みます。
実験装置が十分に揃っていなかったり、型落ちのパソコンを使っている場合は資金力に乏しい可能性が高いです。
文科省からの補助金である「科研費」を調べる方法は後半で解説しています。
学生の雰囲気
学生の雰囲気も重要です。
考え方やノリが合わない集団で過ごすのは苦痛…
研究室には特有の「カラー」があります。
個人プレーで成果を競い合う研究室で、周囲の協力を得ることは難しいでしょう。
逆に楽をしたい人が集まる研究室で、研究に打ち込むのは難しいでしょう。
学生の雰囲気は実際に研究室に行ってみないとわかりません。
私の大学には、なぜか毎年のように楽をしたい人が集まる「意識低い系研究室」がありました。
研究室に足を運んだときに学生の雰囲気に注意を払ってみましょう。
大学院生の数
大学院生が多いほど手厚い指導を受けられます。
教授ひとりで全員を指導するのは難しく、院生が学部生の面倒を見ることが多いからです。
院生から教わることは、
- 装置の使い方
- 論文の書き方
- プレゼンのコツ
など、研究に欠かせないことです。
手厚い指導を望むのなら大学院生が多い研究室に入りましょう。
学会発表や論文投稿の方針
学会発表と論文投稿は研究の醍醐味のひとつです。
研究室によって学会発表や論文投稿に対する考え方が異なります。
たとえば、
- 学部生にも積極的に発表させる
- 修士以上の学生しか学会に参加できない
- 国際発表が多い
- 国際誌に論文を投稿できる
- 年に〇回は学会発表をするなどのルールがある
など、さまざまな方針があります。
学会発表も論文投稿も活発な研究室の方が選択肢が増えるのでオススメです。
研究分野
私は研究分野にこだわらなくても良いと考えます。
研究室に入る前から特定の分野について深く理解している人は少ないからです。
研究してみたら予想外の感想をもつことがほとんどだと思います。
最低限の興味関心があればやっていけるでしょう。
ただし、アレルギーを示すくらい嫌いな分野は避けた方がいいです。
あとは実験系・計算系・理論系のどの研究が多いかは気にしてもいいかもしれません。
実際に手を動かして実験するのか、パソコンでシミュレーションするのか、自分の脳みそを使い倒して理論を追求するのかの違いです。
自分の成績で入れるか
研究室への配属方法は大学によってさまざまだと思います。
成績順に配属されるのなら、自分の成績で入れそうかを考えましょう。
人気の研究室だと成績トップ層しか入れないので注意が必要です。
気にしなくていいこと
気になるけど、気にしなくていいことを紹介します。
就職実績
気にする人が多い就職実績です。
研究室の説明会に行くと必ずと言っていいほどアピールされます。
うちの研究室から有名企業に行く人は多いよ
しかし、〇〇研究室だから就職に強いということはほぼありません。
東○大学の松○研のような超有名研究室は例外かもしれませんが。
一部の例外を除き、就活では研究室名よりも学生個人の取り組みが重視されます。
どれだけ人気の研究室に所属していても本人の実績がなければ無意味です。
就職実績のいい研究室ではなく、自分が頑張れそうな研究室に入ることが重要です。
人気度合い
人気の研究室に惹かれがちな人もいるのではないでしょうか。
〇〇研は毎年人気だよね
きっといい研究室に違いない!
しかし、人気だから良いとは限りません。
あくまでも自分自身の価値観にもとづいて選ぶことをオススメします。
ただし、成績順で配属される場合は人気度とGPAの兼ね合いを考えておきましょう。
企業との共同研究の有無
共同研究が多いほど良いと考える人も多いです。
企業との共同研究ならば、企業とのコネが生まれて就職が有利になる説をよく耳にします。
嘘ではないでしょうが、特定の企業との共同研究を理由に研究室を選ぶのは危険です。
研究室に入ったとしても共同研究のテーマができるとは限りません。
現時点で志望度が高い企業でも、時間をへて志望度が変化する可能性も考えられます。
研究室に入る前から特定の企業を狙い撃ちするのはリスクが高いのです。
研究室のイベント
旅行や飲み会を積極的に開催している研究室は魅力的に見えるかもしれません。
しかし、サークル選びとは違います。
どれだけ豊富なイベントがあっても、イベントに参加する時間よりも研究する時間の方が圧倒的に長いです。
イベントはあくまでもオマケと考えましょう。
研究室のリアルを知る方法
イメージや噂ではなく、研究室のリアルな情報を得ることも重要です。
研究室の先輩に直接聞く
最もオススメなのは実際に研究室の学生の話を聞くことです。
学生の生の声が研究室のリアルに最も近いと考えていいでしょう。
教授の人柄や研究の進め方など、重要なことは直接先輩に聞くことをオススメします。
研究室の説明会
研究室の説明会では概要を知れます。
嘘の情報はないと思いますが、あくまでも研究室のアピールなのでいい部分しか話さない可能性があります。
やはり、実情を知りたいのなら直接先輩に聞くのがいいでしょう。
研究室のホームページ
ホームページでは最新のトピックスに注目してみてください。
頻度に更新している研究室は、研究が活発で指導も手厚い可能性が高いです。
「〇〇くんが学会発表をしました」
「〇〇に関する論文を発表しました」
「教授が講演をしました」
など最新の実績が公開されているはずです。
逆に数年前から更新がストップしている研究室は研究が滞っているかもしれません。
インターネット
インターネットでは教授の研究実績や科研費などの公開情報を知ることができます。
研究室の資金力を調べる際には科研費データベースで教授の名前を調べてみてください。
研究プロジェクトの概要とともに補助金の額が掲載されています。
教授の実績はあらゆる媒体で公開されていますが、researchmapが参考になると思います。
まとめ
工学の修士号を持つ私の体験談をもとに研究室の選び方を解説しました。
研究室選びは今後数年間の研究生活を決定づける非常に重要なイベントです。
ぜひ、重視すべき観点を把握して正しい情報をもって決断してください。
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