この記事でわかること
- 若者批判はいつからあるのか
- 若者が批判される理由
- 「最近の若者は…」を調べた研究について
この記事では、若者が批判されるメカニズムを調べた論文を解説しています。
自己紹介
- 20代の子なし専業主夫
- 新卒1年目で退職
- 理系の大学院卒
「最近の若者は…」を調べた研究
カリフォルニア大学の論文「最近の若者:なぜ今時の若者は物足りなくみえるのか」によると、次のように結論づけられます。
結論
- 若者批判は紀元前624年から続く
- 「最近の若者はダメ」は勘違い
- 勘違いの原因は考え方のクセ
仮に、紀元前624年から「最近の若者」が衰退し続けているとします。
では、現在の高度な社会をどう説明するのでしょうか。
若者が衰退している説は、どうやら嘘っぽいですよね。
でも、現実には若者を嘆く人がいるよね
たとえば、日本の若者は次のように批判されています。
研究によると、日本における若者批判も見当違いと予測できます。
*参考文献:John Protzko and Jonathan W. Schooler, “Kids these days: Why the youth of today seem lacking”, Science Advances, Vol. 5, No. 10 (2019).
なぜ、若者は批判されるのか
ここからは研究論文の中身を紹介します。
先に結論からいうと、
人間には若者世代を過小評価するクセがあるのです。
詳しい内容を見ていきましょう。
なにを調べた?
「最近の若者は〇〇だ」について3つの観点から調べています。
上記3項目について、次のような質問をしました。
自分たちの世代と比べて最近の若者は、
① 年長者を敬っているか?
② 知性はどうか?
③ 読書を楽しんでいるか?
若者への評価に加え、回答者自身の特性も調べました。
(例:自分は年長者を敬っているか?)
これは若者の特性を評価する際に、自身の特性が影響するのかを調べるためです。
調べた結果
先に調査結果から紹介します。
どういうことかと言うと、
自分の得意分野ほど若者を過小評価しがち
とわかったのです。
若者の敬意や読書傾向が衰退していることを示す客観的な事実はありません。
むしろ、若者の知性は向上し続けていると明らかにされています。
(少なくともアメリカでは)
つまり、客観的な事実とは裏腹に若者を過小評価していたのです。
なぜ若者を過小評価するのか
一言でいうと、
若者を過小評価する原因は「記憶の誤り」です。
人間は誤った記憶をもとに若者を評価しているのです。
これは読書好きを対象とした調査で明らかにされました。
子供の頃から本を読んでいた人ほど、
周りの子供も自分と同じように本を読んでいた
と考える傾向が強いとわかりました。
昔はみんな本を読んでいたものだ…
子供の頃から本を読んでいた人は、自分以外の子供たちも本を読んでいたと考えがちなのです。
これは、
人間は自分の個人的な記憶を、自分の世代全体に適用できると考えがち
と理解できます。
人間は誤った記憶をもとに2600年間も若者の衰退を嘆き続けてきたのです。
ここからは私の考察ですが…
「類は共を呼ぶ」と言うように読書家の周りには読書好きが集まるでしょう。
そんな偏った仲間を「自分の世代」の代表サンプルとして抽出しているのも原因ではないでしょうか。
謙虚な人は若者を批判しない
研究では、
自己評価が高い人ほど若者を過小評価しがち
ということも明らかにされました。
これを明らかにした実験は以下の通りです。
実験内容
- 被験者に読書に関する試験を受けてもらった
- 実際のスコアとは無関係に嘘のテスト結果を伝えた
- 下位15%と伝えられた人は若者を過小評価する傾向が弱かった
「読書が得意ではない」と思い込ませることで、若者批判が和らいだのです。
若者への評価は主観的な自己評価に依存すると理解できます。
謙虚な人は若者を批判しないんだね
ウザくて、ダサい若者批判
若者批判は傲慢の証
若者を批判するのは「私は自己評価が高いです」と宣言するようなものです。
人間は自身の過去を美化し、自己評価を高める習性を持っています。
自己評価を高めるのは決して悪いことではないでしょう。
しかし、誤った自己評価をもとに他者を批判するのは愚行です。
声高に若者を批判するのは、自身の傲慢さを誇示するようなものです。
若者は批判を気にしなくてOK
批判に苦しんでいる若者にとっては朗報ですね。
若者批判は見当違いだと科学的に証明されたのですから。
もちろん、的を射た真っ当な批判もあるかもしれません。
しかし、
年上というだけで説教を垂れる人は基本無視でOKです。
「あの人は自信家なんだなぁ」と楽しむくらいでいいでしょう。
最近の若者は主体性がない!
あの人は自分の主体性に自信があるのか…
まとめ
この記事では「最近の若者は…」に代表される若者批判のメカニズムを調べた研究を紹介しました。
人間は過去の記憶の誤りによって若者を批判しがちな生き物です。
若者批判は聞くに値しない意見である可能性が高いのです。
年齢しか誇れるものがない人からの批判は無視していいでしょう。
また、謙虚であれば無闇に若者を批判しないことも示唆されました。
若者から嫌われたくない人は謙虚になるのが一番のようですね。
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